小手すり上げ面のやり方で迷いやすいのは、相手の小手を受けてから面を打つ技だと考えてしまい、すり上げる動作と打つ動作が二つに分かれてしまう点です。
実際には、小手すり上げ面は相手の小手打ちに対して竹刀の側面を使い、相手の竹刀をそらす動きと自分の面打ちを同時に近づける応じ技です。
この技は形だけまねると手だけで払ったり、足が止まったり、面に届かなかったりしやすいため、間合い、左手、刃筋、足さばき、残心までを一つの流れとして整理する必要があります。
ここでは初心者や中学生、高校生の稽古にも使いやすいように、小手すり上げ面の基本手順、決まらない原因、練習メニュー、試合で使う考え方まで具体的に解説します。
小手すり上げ面のやり方

小手すり上げ面は、相手が自分の小手を打ってくる瞬間に、竹刀の左側または右側を使って相手の竹刀をすり上げながら面を打つ技です。
大切なのは、相手の竹刀を大きく払ってから面を打つのではなく、面を打つために振り上げる途中で自然に相手の竹刀を外す感覚を持つことです。
文部科学省の剣道指導資料でも、すり上げ技は相手の打突を無効にすると同時に打ち込む技として整理され、小手すり上げ面では竹刀の側面ですり上げることが示されています。
また、試合で一本に近づけるには、単に当てるのではなく、充実した気勢、適正な姿勢、刃筋、残心がそろった打突にする意識が欠かせません。
全体像を先に押さえる
小手すり上げ面の結論は、相手の小手打ちを待ってから反応する技ではなく、相手に小手を打たせる準備をしてから、相手の打ち出しに合わせて自分の面へ変える技です。
相手の竹刀を横へ弾く意識が強すぎると、竹刀同士がぶつかるだけで自分の面打ちが遅れ、相手が引いたり次の技に移ったりする余裕を与えてしまいます。
| 段階 | 意識すること |
|---|---|
| 攻め | 小手を打たせる |
| すり上げ | 竹刀の側面で外す |
| 面打ち | 一拍で前へ出る |
| 残心 | 打った後も崩れない |
この流れを理解してから稽古すると、すり上げが目的にならず、相手の小手を利用して自分の面を作るという本来の形に近づきます。
最初は速さよりも、攻めて相手が小手へ来る、竹刀の側面に触れる、面へ抜けるという順番を崩さないことを優先してください。
小手を打たせる構えを作る
小手すり上げ面は相手の小手打ちに応じる技なので、相手が本当に小手へ出たくなる状況を作らなければ、きれいな形だけを稽古しても試合では使いにくくなります。
たとえば、剣先で相手の中心を強く押さえすぎると相手は面にも小手にも出にくくなり、逆に手元を無防備に落としすぎると本当に小手を打たれて終わってしまいます。
狙いは、相手から見ると小手が少し打てそうに見えるのに、こちらは左手と剣先をすぐ戻せる余裕を残している状態を作ることです。
そのためには、右手で竹刀を握り込まず、左手を体の中心近くに置き、剣先を相手の中心線から大きく外さないまま圧をかける感覚が必要です。
稽古では元立ちに小手を打ってもらうだけでなく、自分が軽く攻めて相手の小手打ちを引き出す形を取り入れると、実戦で使える反応に近づきます。
すり上げは払わずに外す
小手すり上げ面で失敗しやすい最大の原因は、相手の竹刀を強く叩き落とそうとしてしまい、自分の竹刀が面を打つ軌道から外れてしまうことです。
すり上げは払い技のように相手の竹刀をはじくのではなく、竹刀の側面で相手の打突線に触れ、相手の竹刀が自分の小手へ届く線から自然に外れるように導く動きです。
- 強く叩かない
- 竹刀を横に寝かせない
- 左手を中心から外さない
- 振り上げの途中で触れる
- 触れた瞬間に面へ移る
特に初心者は音が大きいほど成功したように感じますが、竹刀の接触音が大きいときほど動作が粗く、面打ちへの移行が遅れている場合があります。
理想は、相手の竹刀に軽く圧が乗った瞬間にこちらの竹刀が面の軌道へ上がり、相手の打突を外す動きと自分の打突が一つに見える状態です。
左手を中心に残す
小手すり上げ面では右手で操作したくなりますが、右手主体になると竹刀の先だけが動き、左手が体の中心から外れて面の刃筋が乱れやすくなります。
左手は竹刀全体の軌道を決める土台なので、すり上げる瞬間も胸やみぞおちの前から大きく逃がさず、体の中心線に近い位置で振り上げることが大切です。
右手は方向を微調整する役割であり、相手の竹刀を捕まえようとして握り込むのではなく、手首を柔らかく使って竹刀の側面を合わせる感覚を持ちます。
左手が残ると、すり上げた直後に面へ伸びる力が前へ伝わり、打突後の姿勢も崩れにくくなります。
稽古では、すり上げる瞬間に左拳が自分の体の外へ流れていないか、面を打った後に左拳が正中線へ戻っているかを仲間や先生に見てもらうと修正が早くなります。
足さばきで間合いを合わせる
小手すり上げ面は竹刀操作だけで決まる技ではなく、相手が小手へ入ってくる距離と、自分が面へ届く距離を足で合わせる必要があります。
相手の小手打ちが深い場合は少し退く形で相手の打突線を外し、相手の小手打ちが浅い場合は前へ出ながらすり上げることで、面までの距離を失わないようにします。
足が止まったまますり上げると、相手の小手は外れても自分の面が遠くなり、結果として竹刀が面金に触れるだけの弱い打ちになりがちです。
反対に、焦って大きく前へ出すぎると相手と近づきすぎ、面を打つ空間がなくなったり、体がぶつかったりして有効打突として見えにくくなります。
最初の練習では、左足を軽く引いてから右足で面へ出る形と、相手の出方に合わせて右足から前へ出る形を分けて稽古し、距離感を体で覚えることが大切です。
面打ちはすり上げの延長にする
小手すり上げ面の面打ちは、すり上げた後に改めて振りかぶる打ちではなく、すり上げながら面を打つ準備が終わっている打ちです。
すり上げと面が分かれる人は、相手の竹刀を外した時点で一度安心してしまい、その後に面を打ち直すため、相手の防御や引き技に間に合わなくなります。
面へつなげるには、すり上げる瞬間に竹刀が上がりすぎず、物打ちで面をとらえられる高さへ最短で移ることを意識します。
また、気合は小手を受けた後に遅れて出すのではなく、面へ出る瞬間に体の前進と声が一致するように出すと、技全体に勢いが生まれます。
有効打突を意識するなら、面に当てたところで終わらず、打った後に体を抜く、または相手に正対して残心を示すところまでを一つの動作として稽古してください。
表と裏の違いを理解する
小手すり上げ面では、竹刀の右側を使うか左側を使うかによって、相手の竹刀が外れる方向や自分の体のさばき方が変わります。
どちらが絶対に正しいというより、相手の小手打ちの角度、自分の構え、稽古している基本形、先生の指導方針によって使いやすい側が変わります。
| 使う側 | 特徴 |
|---|---|
| 竹刀の右側 | 中心を保ちやすい |
| 竹刀の左側 | 相手の線を外しやすい |
| 前へ出る形 | 攻めが強く見える |
| 退く形 | 小手を外しやすい |
大切なのは名称だけを覚えることではなく、自分の竹刀のどの面で相手の竹刀に触れ、相手の打突線をどちらへ外し、次の面へどう進むのかを説明できるようにすることです。
最初は一つの形に絞って反復し、慣れてから相手の小手打ちの角度に合わせて反対側のすり上げも練習すると、応用力が高まります。
残心まで崩さない
小手すり上げ面は応じ技なので、相手の攻撃を外した瞬間に満足しやすいですが、試合や審査では面を打った後の姿勢と残心まで含めて評価されます。
すり上げの後に体が横へ流れたり、面を打った後に竹刀が下がったりすると、技が偶然当たったように見え、せっかく良いタイミングでも一本として伝わりにくくなります。
打突後は相手の反撃を想定し、抜ける場合はまっすぐ抜け、止まる場合は剣先を相手へ向けて正対することで、技の締まりが生まれます。
特に稽古では、面に当たった瞬間だけを確認するのではなく、打った後の左足の引き付け、上体の角度、竹刀の位置、相手との距離まで毎回見直すことが上達につながります。
小手すり上げ面は派手な技に見えますが、最後に崩れない人ほど、すり上げも小さく、面打ちも正確で、試合でも審査でも説得力のある技になります。
決まりやすくする準備

小手すり上げ面を上達させるには、技そのものの形だけでなく、相手が小手を打ちたくなる前段階を作ることが重要です。
相手が小手へ出る理由がないのに待っていても、実戦では相手が面へ来たり、こちらの様子を見て止まったりするため、応じる場面が生まれません。
ここでは、間合い、攻め、左手の位置という三つの準備を整理し、稽古でどこを意識すれば小手すり上げ面につながりやすくなるかを掘り下げます。
間合いを先に整える
小手すり上げ面は、相手の小手がこちらに届きそうで、自分の面も届くという微妙な間合いで最も使いやすくなります。
遠すぎる間合いでは相手の小手打ちが浅くなり、すり上げても面へ届かず、近すぎる間合いでは相手の竹刀がすでに小手へ入り、すり上げる余裕がなくなります。
| 間合い | 起きやすい失敗 |
|---|---|
| 遠い | 面が届かない |
| 近い | 受けが遅れる |
| 浅い攻め | 相手が出ない |
| 深い攻め | 小手を誘える |
稽古では、ただ決められた距離から始めるのではなく、一足一刀の間合いに入る前後で相手が小手を打ちたくなる瞬間を観察することが大切です。
自分から半歩入って相手の反応を見る練習を重ねると、相手が小手へ出る前の肩、剣先、右足のわずかな変化を感じやすくなります。
小手を誘う攻めを使う
小手すり上げ面は受け身の技に見えますが、実際には自分の攻めで相手の選択肢を狭め、小手を打たせることで成立しやすくなります。
相手の中心をただ押すだけでは相手が動けなくなり、逆に何も攻めずに待つだけでは相手に自由な技を選ばせてしまうため、誘いの強さを調整する必要があります。
- 剣先で中心を取る
- 手元を少し見せる
- 右足で圧をかける
- 面を意識させる
- 小手への反応を残す
たとえば、面に出る気配を見せると相手は先に小手を押さえたくなり、その小手打ちに対してすり上げ面を合わせやすくなります。
ただし、手元を見せる誘いは危険もあるため、完全に小手を空けるのではなく、相手が出た瞬間に竹刀の側面で対応できる範囲に保つことが条件です。
構えを小さく崩さない
小手すり上げ面を狙っていると、相手の小手を待つ気持ちが強くなり、構えが固まったり、手元が浮いたり、剣先が相手の中心から外れたりしやすくなります。
構えが崩れると相手には狙いが見え、こちらが小手を待っていることを読まれて、面へ乗られたり、逆に攻め返されたりします。
技を隠すためには、通常の面打ちにも出られる構えを保ち、相手が小手へ出た場合だけ自然にすり上げ面へ変わる余地を残しておくことが大切です。
右手の力を抜き、左手を中心に置き、肩を上げずに剣先を生かしておくと、相手の打ち出しに対して余分な予備動作を減らせます。
小手すり上げ面を得意技にしたい人ほど、構えで技を見せないことを意識し、どの技にも行ける自然な状態から応じる練習を増やしてください。
よくある失敗の直し方

小手すり上げ面が決まらないときは、速さや反射神経だけが原因ではなく、動作の順番や力の入れ方がずれていることが多くあります。
特に初心者は、相手の竹刀を外すことに意識が集中しすぎて、自分の面打ち、足さばき、残心のどれかが抜け落ちやすくなります。
ここでは、稽古でよく見られる失敗を原因別に分け、どのように修正すれば小手すり上げ面の形が安定するかを具体的に説明します。
竹刀を強く叩いてしまう
相手の小手打ちを怖がると、竹刀を強く叩いて安全を確保しようとしますが、その動きはすり上げではなく払いに近くなり、次の面打ちが遅れます。
強く叩いた瞬間は相手の竹刀が外れたように見えますが、自分の竹刀も面の軌道から外れているため、攻防一致の技としてはつながりにくくなります。
| 状態 | 修正の目安 |
|---|---|
| 音が大きい | 力を抜く |
| 竹刀が横へ流れる | 左手を戻す |
| 面が遅れる | 一拍で打つ |
| 姿勢が崩れる | 足から動く |
修正するときは、相手の竹刀を打つのではなく、竹刀の側面で触れて軌道をずらす程度にとどめ、すぐ面へ進む練習をします。
先生や相手に確認してもらい、すり上げた後に自分の竹刀が面を打てる線へ残っているかを見れば、払いになっているかどうかが分かります。
面に出る足が止まる
小手をすり上げることに集中しすぎると、上半身だけが動き、右足が前へ出ず、面に届かない弱い打ちになってしまいます。
足が止まる人は、相手の小手を外してから面へ行こうとしている場合が多く、動作の順番が無意識に受けてから打つ形になっています。
- 足を先に準備する
- 右足で面へ出る
- 左足を残さない
- 打った後に抜ける
- 止まるなら正対する
改善するには、相手の小手打ちに対して竹刀だけを動かす稽古をやめ、すり上げと同時に右足を前へ運ぶ練習を短い距離から繰り返します。
足さばきが入ると技は一気に実戦的になり、相手の小手を外すだけの防御ではなく、相手の攻撃を利用して面を取る技に変わります。
相手の動きを早く見すぎる
小手すり上げ面を狙う人ほど、相手が動く前から小手だと決めつけてしまい、相手が面に来たときやフェイントを入れたときに対応できなくなります。
早く反応することは大切ですが、早すぎる反応は予測の外れになり、竹刀が先に上がって小手を打たれたり、相手に技を見切られたりします。
小手へ来ると判断する材料は、相手の剣先の下がり、右足の踏み出し、手元の伸び、上体の入り方などが重なった瞬間であり、一つだけで決めつけないことが重要です。
稽古では元立ちに小手と面を混ぜてもらい、どちらにも対応する練習を入れると、待ちすぎず早すぎない判断が身につきます。
小手すり上げ面は読みの技ですが、当て勘だけで出すのではなく、相手を攻めて反応を引き出し、見えた瞬間に自然に体が動く状態を目指してください。
段階別の稽古メニュー

小手すり上げ面は一度に完成させようとすると、竹刀操作、足さばき、面打ち、残心が混ざってしまい、どこを直せばよいか分かりにくくなります。
上達の近道は、最初に形を分解し、次に相手の動きを入れ、最後に実戦に近い読み合いへ進むことです。
ここでは、基本動作の確認から試合を想定した稽古まで、段階ごとに練習内容と注意点を整理します。
素振りで軌道を作る
最初の段階では相手を置かず、面を打つ振り上げの途中で竹刀の側面が相手の竹刀に触れるイメージを作る素振りから始めます。
いきなり相手の竹刀に合わせると、怖さやタイミングの難しさで右手に力が入り、正しい軌道を覚える前に崩れた癖がつきやすくなります。
| 練習 | 目的 |
|---|---|
| 小さな振り上げ | 軌道を覚える |
| 左手中心の素振り | 手元を安定 |
| 一歩面 | 足と一致 |
| 残心確認 | 姿勢を保つ |
素振りでは、竹刀が横に寝たり、左手が外へ流れたりしないように確認し、面打ちの線を保ったまま少しだけ相手の竹刀を外す感覚を作ります。
この段階で大切なのは速く振ることではなく、すり上げる動きが面打ちの準備を邪魔していないかを丁寧に確かめることです。
約束稽古で形を固める
次の段階では、相手に同じタイミングで小手を打ってもらい、こちらが決められた形で小手すり上げ面を返す約束稽古を行います。
約束稽古は実戦とは違いますが、相手の竹刀の重さ、距離、打ち込んでくる角度を感じながら、すり上げと面打ちを一拍でつなげるために必要です。
- 小手の角度を一定にする
- 最初はゆっくり行う
- すり上げを大きくしない
- 面まで必ず打つ
- 毎回残心を取る
元立ちは打たせるために極端に弱い小手を出すのではなく、掛かり手が正しくすり上げなければ小手に当たる程度の真っすぐな小手を打つと練習効果が上がります。
慣れてきたら、相手の小手の深さや速さを少しずつ変え、同じ形の中でも間合いを調整できるようにしていきます。
自由度を上げて試す
約束稽古で形が安定したら、相手が必ず小手を打つ条件を少しゆるめ、面、小手、止まる動作を混ぜてもらう稽古に進みます。
この練習を入れないまま試合で使おうとすると、相手が小手へ来る前に自分から動いてしまい、技が読まれたり、逆に打たれたりします。
自由度を上げるときは、最初から完全な地稽古に入るのではなく、相手が小手を多めに出す条件を残しながら、こちらが本当に小手を見てから反応する段階を作ります。
うまくいかない場合は、技そのものを速くするより、攻めの入り方や相手の反応を見る時間を見直すと改善しやすくなります。
最終的には、面に出る攻め、小手を誘う攻め、相手が小手へ出た瞬間のすり上げ面を一つの流れで使い分けられるようにすることが目標です。
試合で使うための考え方

小手すり上げ面を試合で使うには、形の正確さに加えて、相手の癖、試合の流れ、審判から見た打突の明確さを考える必要があります。
稽古で決まる技が試合で決まらない理由は、相手が約束どおり小手を打ってこないことや、こちらの狙いが見えすぎることにあります。
ここでは、どんな相手に向いているか、どの場面で狙いやすいか、一本に見せるために何を整えるべきかを実戦目線で整理します。
小手が多い相手に狙う
小手すり上げ面は、面を警戒して先に小手を押さえに来る相手や、こちらの攻めに対して右小手へ反応する癖がある相手に有効です。
反対に、遠間から大きく面へ来る相手や、こちらの誘いに乗らず中心を取り返してくる相手には、無理に狙うより別の応じ技や先の技を選んだ方がよい場合があります。
| 相手の特徴 | 狙いやすさ |
|---|---|
| 小手が多い | 高い |
| 面が多い | 低い |
| 手元が早い | 中程度 |
| 攻めに反応する | 高い |
試合中は、序盤から相手の小手の出方を観察し、こちらが半歩攻めたときに小手へ来るのか、面へ乗ってくるのか、下がるのかを見極めます。
小手へ出る傾向が見えたら、次の同じ場面で少しだけ手元を見せ、相手の小手を引き出して小手すり上げ面へつなげると成功率が上がります。
一本に見える打ちにする
小手すり上げ面は相手の攻撃を外して打つため、決まると見栄えのする技ですが、打突が弱かったり姿勢が崩れたりすると一本として伝わりにくくなります。
全日本剣道連盟の剣道試合・審判規則では、有効打突には充実した気勢、適正な姿勢、竹刀の打突部による刃筋正しい打突、残心が求められるとされています。
- 気合を明確に出す
- 物打ちで面を打つ
- 刃筋を立てる
- 体を前へ運ぶ
- 残心を示す
つまり、小手を外したこと自体ではなく、その直後の面打ちが剣道の有効打突として成立しているかが重要です。
稽古では、相手の竹刀をうまく外せたかだけでなく、面の音、体の伸び、打った後の姿勢を確認し、審判や周囲から一本に見える技へ整えていきます。
狙いすぎない余裕を持つ
小手すり上げ面を覚えると、試合で使いたくなりすぎて相手の小手ばかり待つ状態になり、結果として自分の攻めが弱くなることがあります。
応じ技は相手の動きに対応する技ですが、ただ待つだけになると主導権を失い、相手に自由に攻め込まれてしまいます。
狙う場面は、相手が小手を出しやすいと分かったとき、自分の面を警戒させた後、相手が一本を取りに焦って出てくるときなどに絞ると効果的です。
普段の攻めでは面、小手、出ばな技も見せておき、相手がこちらの選択肢を読めない状態を作ることで、小手すり上げ面の成功率が高まります。
得意技にするほど、毎回狙うのではなく、相手の反応がそろった瞬間だけ使う冷静さを持つことが試合での大きな武器になります。
小手すり上げ面は一連の動作で身につける
小手すり上げ面のやり方を身につけるうえで最も大切なのは、相手の小手を受けてから面を打つという二段階の意識をやめ、すり上げる動作と面を打つ動作を一つにつなげることです。
そのためには、相手に小手を打たせる攻め、竹刀の側面で外す柔らかい操作、左手を中心に残す構え、面へ届く足さばき、打突後の残心までを毎回セットで確認する必要があります。
最初は約束稽古で形を固め、次に小手と面を混ぜた稽古で判断を磨き、最後に試合の流れの中で相手の癖を読んで使う段階へ進むと、無理なく実戦に近づきます。
小手すり上げ面は派手な応じ技に見えますが、本質は相手の打突線を小さく外しながら、自分の中心と姿勢を保って面を打つ基本の積み重ねです。
焦って速くしようとするより、正しい間合いで相手の小手を引き出し、軽くすり上げ、迷わず面へ出る流れを反復すれば、稽古でも試合でも使える技として安定していきます。



